霜乃会同人 講談:旭堂南龍 落語:桂紋四郎 浪曲:京山幸太 文楽:竹本碩太夫・鶴澤燕二郎 茶道:松井宗豊 能楽:林本大・今村哲朗

霜乃会プラス 浪曲「新作から古典まで」無事終了

レポート

先日3月13日(金)、霜乃会が毎月開催する講座「霜乃会プラス」が開催され、無事終了しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大する中、会場である青山ビルの全面協力のもと、会場は窓を開けて換気を十分にした上で、さらに空気清浄機を設置。開催前と終演後の会場消毒、受付にも消毒用アルコールを設置しての開催となりました。

京山幸太による新作浪曲紹介

今回の霜乃会プラスは浪曲師・京山幸太が担当し、浪曲の中でも比較的最近に成立した演目を紹介。

幸太の大師匠(師匠の師匠)である初代京山幸枝若による《硫黄島玉砕~西中佐の物語》、さらに《嗚呼機動隊~内田隊長浅間山荘に散る》といった、太平洋戦争における硫黄島の戦い(1945年)や、あさま山荘事件(1972年)を元にした、昭和の時代に成立した新しい作品を、レコードの音声とともに紹介しました。

特に《嗚呼機動隊》のレコード発売は1975年で、事件から数年しか経っていません。「時事ネタ」を題材にしている演目といって良いかと思います。

能楽の《実盛》にも、応永21年(1414年)「加賀国(現在の石川県)で平家の武将・斎藤実盛の幽霊が現れるらしい」という噂が流れたことを受けて作られたとする説があります。文楽の人気演目である《曽根崎心中》も元禄16年(1703年)、大阪曽根崎天神の森で男女が心中したことをモデルにした物語です。

芸能には、それぞれの時代のニュースを取り込んでいく性質もあったことを感じる時間となりました。

もちろん内容だけでなく、浪曲としての作りなどにも言及。浪曲師と一緒に浪曲の録音を聴きながら、その演目の解説を聴くというのも、なかなかない企画だと感じております。

浪曲《孝子萬兵衛》口演とアフタートーク

そのあと幸太と曲師・一風亭初月による《孝子萬兵衛》の口演も。孝行息子と評判の萬兵衛が、ひょんなことから役人2人を殺してしまう。母親を連れて逃げる萬兵衛を助けるべく、アレコレ画策する村人たちと役人たちとのやり取りを面白可笑しく描くものですが、こちらも古典化した演目の中では、比較的新しい演目とのことでのセレクトです。

口演終了後は、能楽師・今村哲朗と落語家・桂紋四郎も参加しての、霜乃会クロストーク。《孝子萬兵衛》で何度も行われた「船を漕ぐ演技」について、「落語での表現」「能での表現」という話を中心に、霜乃会ならではの内容となりました。

次回の霜乃会プラスは、4月は「伝統芸能で旅する京都」のためにお休みさせていただきまして、5月15日(金)に松井宗豊が担当する茶道の回となります。皆様のご来場をお待ちしております。

霜乃会プラス 京山幸太 桂紋四郎 今村哲朗

霜乃会プラス 京山幸太 桂紋四郎 今村哲朗

霜乃会プラス 2020年5月~9月

霜乃会プラス 京山幸太
20241005-06霜乃会本公演 東京公演