霜乃会同人 講談:旭堂南龍 落語:桂紋四郎 浪曲:京山幸太 文楽:竹本碩太夫・鶴澤燕二郎 茶道:松井宗豊 能楽:林本大・今村哲朗

「話芸の三きょうだい」文化庁巡回公演2023

レポート

講談師の旭堂南龍です。此の度も『話芸の三きょうだい』として文化庁の巡回公演にお声掛け頂きました。様々な学校に寄せて頂き、様々な出来事があります。以前はとある学校で本番を迎える前に待ち時間があり、衣装で学校見物しておりますと、廊下に手描きの世界地図が張り出されていましたから、

「先生が丁寧に描きはったんやなぁ。これは見てても楽しいなぁ」

と眺めておりますと、授業に向かう低学年と思しき生徒さんが

「何してるん?」
「今、地図を見てるんです」
「何で?」
「面白いなぁと思って」
「何処が?」
「この手描きの感じがええなぁと」
「何でそんな格好なん?」
「今日は芸術鑑賞会で呼ばれたんです。」
「誰が?」
「僕です」
「何で?」
「文化庁と言う所から、この学校に行って下さいねって言われたんです」
「何で?」
「そこら辺は、大人の事情でよく僕もわかってませんが」
「何で?」
「世の中には、そう言う事もあるんですよ」
「なぁ…もう授業に行ってええ?」

と其の儘、振り返る事もなく、
スタスタと遠ざかって行く後ろ姿を見ながら、僕は

「何で?」

子供は罪が無いわ。

「話芸の三きょうだい」文化庁巡回公演2023